2011.12.10

自然の宝庫 ケアンズのご報告(1)

2011年11月13日
 12年ぶりのケアンズ・バードウォッチングツアーを実施できることになりました。ケアンズは時差も1時間だし、成田からの出発時間も夜なのでその点ではらくちんです。
 まるでディズニーランドの人気アトラクションの行列かと思うような人数にウンザリしながら列の最後尾に並び、格安運賃で知られるジェットスター航空にチェックインしました。格安を謳い、テレビでも宣伝している航空会社ですが、かつての日本航空やカンタス航空よりずっと高い運賃をとられました。しかしケアンズまでの直行便はこれしかなく、今のところ我々に選択権はありません。まったくシャクに触る航空会社です。
 私達の場合、機内では食事やソフトドリンクと毛布は付いているものの、アルコール類は購入しなければならず、しかも現金は一切受付けないというシステムになっていて、クレジットカードのみ利用可になっているため、カードを持たない主義の人や、うっかりカードを忘れた人は長いフライトの間、お酒を飲むこともできない。もちろん持ち込みのお酒はDFSで買ったものであろうと飲酒禁示である。一体何の権利でそんなことを規制するのだといいたいところでしたが、おとなしくワインをチビチビ飲んでぐっすり寝ることにしました。到着は早朝で、すぐにツアーが始まるのです。

2011年11月14日
朝の4時にケアンズ到着後、これまた入国の人たちの長い行列に並び、厳しい食品検査を通過して入国。ようやく解放された気分になりました。
 食料品の持込には皆さんも結構気を使われたご様子でしたが、卵以外の加工された食品で未開封であればだいたいはOKです。
 オーストラリアは他の大陸から海を間にして離れており、その地球創生の地理的特異性から、数々の固有の動植物を育んできたところです。カンガルーやコアラはその代表格ですが、鳥の世界においても他では見られない鳥が多く、特に渡り鳥ではなく、留鳥が多いことで知られているのだとお聞きしました。つまりここでしか見られない鳥だらけの、まさにバードウォッチャーにとっては憧れの場所とされる所以なのです。
 ガイドの松井さんと合流した後、ケアンズ空港を出発し、車で20分ほどのセンテナリーレイクへ向かいます。ケアンズは先日まで大雨が降っていて、日本でもニュースになっていましたが、お天気は上々で、バスを降りたところでまずはご挨拶。広大な自然公園をカメラを持った20名ほどの集団がゆっくりと鳥を探しながら歩くのは、傍から見るとちょっと異様な感じもするはずですが、早朝ということもあって周囲には誰もいません。
 しかし、朝の早い鳥たちは既にハスの花がきれいに咲いている池で活動を始めていました。バスを降りた場所の近くにいたカササギガンやカモ達を観察して、さらに少し奥のほうへ進むと、朝のまぶしい光を浴びながら、ハシブトゴイがハスの花の隣で顔を上げていました。この鳥は日本ではもう絶滅して見られなくなってしまったのだとか。鏡のような池の水面をマミジロカルガモやオオリュウキュウガモが群れをつくって、泳いでいます。こんな早朝から大勢の人間に注目されて、すこし警戒していたようですが、珍しい鳥たちをゆったりと間近に観察することができて、参加の皆さんは大喜びのご様子でした。
 ここで1時間ほど観察する予定でしたが、ガイドの松井さんにヒクイドリが出ているとの緊急連絡がはいり、急いでキュランダへ向かうことにしました。
 ヒクイドリは人の背丈ほどもある巨鳥で、火を食べたようにのどが赤いためこの名前が付いたとのことで、広いオーストラリアでも、このキュランダの特定の場所でしかお目にかかれない鳥なのです。
 キュランダの森でバスを降り、ガイドの松井さんに案内され、そーっと足音を殺しながら近づいた場所に、それはたたずんでいました。実は私は、以前もヒクイドリを見たことがありましたが、しかし今回最初にこの鳥を見た時は以前見た時の印象よりずーっと大きく感じました。まるで木でできているような大きくて硬そうなトサカ、青と赤の強い色彩をもつ頭と首、体は真っ黒い竹箒のような剛毛で覆われています。足の太さといったら、まるで棍棒のようでした。女性が多いお客様はなかなか近寄ることができず、怖いやら、見たいやらでだいぶ緊張されているようでした。
 しばらく写真を撮りながら観察したあと、この鳥の名前が付いたカソワリーハウスで朝食を摂り、ツアー最初の目玉であるヒクイドリを充分に堪能していただきました。
 実はこのヒクイドリは、何度ツアーに来ても見られないこともある鳥で、まずはこの鳥を無事にお客様に見ていただくことができてほっと安堵しました。
 キュランダでパンや果物、ヨーグルトといった朝食を取っている間も、近くの木の枝にはタテフミツスイやセグロモズガラスなどの様々な鳥たちがやってきます。また、目の下の枯葉が積もった森の地面にはキンバトがエサを探してウロウロしていたり、日本では考えられない状況でその愛らしい姿を見せてくれました。自然保護の長い歴史がこのような状態を作り出してきたのだと思いますが、それでも全体としてはかつてほど鳥の数は多くないようでした。

     

      JQ機内食          センテナリーレイク到着     カササギガン   

     

     ハシブトゴイ         オオリュウキュウガモ         みんなビクビク

      

     ヒクイドリの足          ヒクイドリ              タテフミツスイ        

         

     キンバト               セグロモズガラス          ヒクイドリ