2012.05.28

対馬4泊5日探鳥ツアーのご報告

4月29日~5月3日対馬

 鳥を見るのには場所だけでなく、その季節が重要だといいます。ただそうはいってもある程度の期間というかお目当ての鳥が見られる季節の幅があるので、いつもバードウォッチングのツアーというと、連休を避けて、価格的にも予約とるにも手配しやすい時期を選んで実施しています。しかし今回はゴールデンウィークのど真ん中。予約もさることながら、かなり金額的にも高額になってしまいました。しかしなんといっても叶内先生によると今回のメインターゲットであるヤマショウビンは5月3日をはさんでわずか数日しか見ることができないらしいのです。しかも出る時期は毎年ハンで押したようにほぼ同じだというから、もういた仕方がありません。
 羽田から国境の島、対馬へ。遠いようでも、対馬へは福岡を経由してわずか3時間ほどで着いてしまいます。到着後、先発していた先生と合流し、早速車で移動します。
 対馬は南北80キロ以上の大きな島ですが、今回の我々の探鳥のポイントはそんなに広範囲ではないようです。滞在中に一度だけ島の南端へも行きましたが、観察のほとんどは島の北部にある佐護とその周辺でした。しかし観察のための移動距離は結構なもので、4泊5日の滞在中は早朝出発し、途中で朝食と昼食のお弁当を積み込み、一日中移動し、観察を間にはさんでまた移動というように、車で相当の距離を走り回りました。なにしろ同じ場所でも朝昼夕方で鳥が見れたり見れなかったりですから、若干方向音痴気味の私にしてみれば、同じところをぐるぐる回っているようにも感じられました。
 おまけにお天気のほうは、滞在の間で青空になることはほとんどなく、雨と風に見舞われることもしばしばで、海岸線の美しい景色の中を走っても、ドンヨリした鉛色の海が広がっているだけで、絶景をお楽しみいただくことはできなかったのではないでしょうか。
 しかし、叶内先生によると対馬を探鳥する場合は、お天気だと渡り鳥がすぐに抜けてしまうため、かえって天候が悪いほうが良いのだとか。しかし私としては「それも程度問題では」とちょっと心配でした。
 対馬の道は曲がりくねっていてとても狭いというのが全体の印象です。もちろんそうでないところもありますが、大きな島の割に、かなり狭い峠を走っているような感覚になるところもあり、結構神経を使います。それなのに、途中で何台もの大型観光バスとすれ違いました。この対馬になぜこんなバスが?と思って聞くと韓国からのツアーがとても多いらしく、彼らは自分の国から50キロも離れていない対馬にやってきて、自国へ戻った時に免税品を買うのが目的なのだとか。なるほど、ウマいことを考えたものです。
 お天気は悪くても先生の言うとおり、成果のほうはサギ類やタヒバリ達、ヨーロッパビンズイ、オウチュウなどの珍鳥も見られましたし、最大のお目当てであるヤマショウビンにも会うことができました。黒いマスクに赤くて大きな嘴、オレンジのおなかに、真っ青な背中と、この島ではコウライキジと並んで、もっともハデな鳥です。皆さんに、高いお金をかけて対馬まで来ただけのことはあったと少しは思っていただけたようでした。