2022.04.11

三宅島で鳥観察のご報告

2022年4月8日(金)~9(土)

この度、観察会会員の林山さんと懐かしの三宅島に行ってきました。船中1泊だけの21時間ツアーです。
調べてみると叶内先生とツアーで三宅島へ行ったのは11年も前のことでした。夜の竹芝港から東海汽船の橘丸という船に乗りましたが、しばらくぶりで乗った船には椅子席はなく船室は少人数利用の小部屋に分けられていて、やはり今は個人旅行の時代なのだなと感心しました。黄色に塗装された橘丸は全体的にコンパクトな作りでしたが、快適で波も穏やかだったこともあり、静かな船旅でした。

早朝5時に三宅島到着後臨時バスで伊豆岬へ。まだ太陽が山の端から顔を出す前で辺りは薄暗い感じでしたが、そこここでコマドリやウグイスの鳴き声が聞こえてきて、都会とは違う自然の「濃さ」を感じました。南海の島で、早朝のため見渡す限り人も歩いていないのに散歩していた人がマスクをつけているのを見て、つくづく日本人は真面目なんだなぁと妙に感心しました。
伊豆岬灯台付近で鳥を探しているうちに太陽が昇り始め明るさが増してきました。草むらにいたホオジロや伊豆岬に生息しているウグイスが低木の枝の上に止まってさえずってくれたり、シチトウメジロを見つけることができました。

伊豆岬で簡単に朝食を食べてからバスで大路池へ向かいます。アカコッコ館のオープンが9時からなのでまずは大路池周辺を歩いてイイジマムシクイやタネコマドリを探すことにしました。さわやかな明るい新緑の葉をつけた木々が茂っている道を歩くと鳥たちのカン高い鳴き声があちこちから聞こえてきますが、なかなか姿は見つけられず、素早い動きにもついていけなくてイライラするばかり。
傍にいた数人のバードウォッチャーが切る激しいシャッター音を聞きながらも鳥をキャッチすることもできず、気持ちは焦るばかりでした。
鳴き声が多い割には鳥を見つけることもできず、諦めてアカコッコ館へ向かおうと道を戻って来た時、イイジマムシクイの小グループに遭遇しました。道を挟んで鳥たちは縄張り争いでもしているのか追いかけっこを繰り返しているようでした。
なかなか撮影できなかったイイジマムシクイを運よく撮影することができ、気持ちよくアカコッコ館へ。200円払って入館したものの、行けば撮れると思っていたお目当てのアカコッコは全く姿を見せてくれませんでした。館内に飾ってあるアカコッコの写真や模型も空しく感じられ、館の人に事情を聴くと数年前にイタチを放してからアカコッコの数がかなり減ってしまったのだとか。「なぜイタチを?」と思ってみても致し方なく、船の時間が迫るなかアカコッコ館を後にしてバスで港へ向かいました。

三宅島は風向きによって発着の港が変わるため事前に確認が必要です。港確認のため電話しようとしましたが、何と携帯電話が使えないのです。電話の故障ではなく三宅島の通信システムの問題のようでした。アカコッコ館で聞いてみると、今回は到着も出発も私にとっては初めての三池港になりました。帰りの航路ではアホウドリを見られるかもしれないとのことで楽しみにしていましたが、八丈島から折り返して乗船してきている人たちが立てている三脚でデッキは既に混み合っている状態でした。何とか隙間にもぐりこんではみたものの、海を見てボーっとしていると、船が出港した直後に両サイドのカメラマンがマシンガンのようにシャッターを連写し始めました。
その様子を見て私もようやくカメラを取り出して撮影を試みたものの、最初のうちは周りの人がどこを見て何を撮影しているのか全くわからず、オタオタするばかり。ようやく海上を飛ぶ小さな(実は大きい)鳥がアホウドリだとわかり何とか撮影しましたが、時すでに遅し。
アホウドリが船に近いところを飛んでくれたのは出向してからわずかな時間で、その後も見ることはできましたが、かなり遠く、数もぐっと少なくなってしまいました。
私の事前の勉強不足は明らかで、なんとも残念でした。
午後3時半を回ったころにはカメラを構える人も少なくなり、私は疲れもあって客室に戻って休憩することにしました。
この後は竹芝に着く午後7時30分まで退屈な時間になるなと思っていました。するとたまたま同室になった人が先ほどデッキで隣にいた方で、実は京都からきて八丈島を往復して海鳥を撮影してきたと聞き、個室には林山さんと私とその人の3人だけということもあり、鳥談議に花が咲き竹芝までの数時間は退屈するどころか、とてもたのしいひと時となりました。
その方の話では関西には海鳥を撮影するのに適した航路というものがなくて、海鳥も人気がなく、今回の撮影旅行でも仲間を誘っても希望する人がいなかったとのことでした。竹芝到着後には品川から新幹線で京都へ帰るとのことで、お金と時間と労力を考えると大変なことで、東京の人がうらやましいと言っていました。
今回、鳥の成果は今一つでしたが、全体的にはとても楽しいツアーでした。

 

 

イイジマムシクイ

イイジマムシクイ

アホウドリ

                                アホウドリ