2012.09.28

白樺峠鷹の渡り観察ツアーのご報告-1


2012年9月20日(木)

確かに、世の中には晴男や雨女と言われる人がいて、科学的根拠など関係ないとばかりに、ご自分の「効力」を主張されているのを聞くことがたまにありますが、叶内先生の場合はどうやらワシタカを観察しに行くと、鳥たちがオーラを感じ取って、なかなか姿を現さないという「効力」を持っておられるらしい。
先生自身も「鳥に会う旅」のなかで、繰り返しこの「効力」ついて書かれていますが、今回はこのご自身のパワーに「配慮」してか、白樺峠のツアーでは初めてとなる2泊3日と長めのツアー日程を選ぶことにしました。これまでこの白樺峠に何度もタカの観察に訪れながら、パラパラという数のタカ渡りしか見られておらず、なんとも残念な気持ちを味わってきましたので、万全を期す一方で、これで見られなかったらもう迷信ではすまされないという、自ら背水の陣を敷いたというところでしょうか?
かすかに秋の気配を感じられるようになった朝の晴れた天気の中で出発した車は、多少の混雑こそありましたが、順調に走り、途中で昼食を買った後、いまだ緑濃い狭い山道をタカの待つ奈川温泉白樺峠方面へ進み、午前中には峠の入口へ到着することができました。平日でもあり、そんなに「観客」はいないだろうとの甘い予想を裏切り、入口付近の駐車場は既に満杯で、少し離れた道路わきのスペースに駐車せざるを得ない状態でした。
もともと初日の天気予報はあまり好ましいものではなく、明日こそ勝負だと思っていましたが、峠の上のタカ見の広場に行ってみると晴れあがった好天の下、すでに200人以上の鳥ヤさん達が三脚にデカいレンズを据え付けて集結していました。聞くと午前中には結構な数のタカが出現したとのことで、これは初日にして目的が達成できるのではと期待がふくらむのを感じました。
涼しいけれど強い日差しの中、タカ見広場の後ろのほうでカメラを構え、早めの昼食をとりながら、タカの出現を待つことにしました。割とこらえ性のない私は、しばらくして後、退屈なのでチョウを追いかけて、環境写真を撮ることにしました。天気が良いせいか、あちこちで綺麗なチョウが飛んでは花に止まり、割と簡単に写真に収めることができました。
すっかりチョウの写真に自分で満足してから自分の場所に戻ってみると、いよいよタカがお出ましになり始めたようです。なにしろ沢山の人の目とカメラが、今や遅しと上空を睨みながら待ち構えているので、コチラがよそ見をしていてもタカが出ると雰囲気と一斉にきられるカメラのシャッター音で、すぐにそれとわかります。
みんなの目線の先を見ると、ハチクマやノスリが単独飛行で現れました。青く高い空をゆっくりと気持ち良さそうに旋回しています。クマタカも大型のタカらしい、堂々とした飛行を見せてくれました。それにしても皆、高~い高~いところを飛んでいます。
最初は「出たぞ、タカだ!」と言われて、周りの人が「ああいたいた。あの雲の右ね」とか言ってるのを聞いても、自分では小さすぎてよくわかららず、一体どこにいるんだろうと探しまくりましたが、しばらくして望遠レンズで覗くとわかるようになりました。あの高い上空から見ると我々はどんなふうに見えるのだろうかと、とぼけたことを想像してしまいましたが、そのうちサシバの群れが、遠慮がちに遠くで舞っているのが観察できました。タカの渡りの合間を縫って、たまにホシガラスが現われてはパタパタと羽ばたきながら、稜線より低いところを飛んでアクセントを入れてくれましたが、それにもしっかりとシャッターを切りました。
ひとしきり観察しましたが、初日の今日はまだ小手調べで、明日こそ本番だという心理的余裕もあって、4時頃には我々も引き上げて、例年泊まっている「富喜の湯旅館」へチェックインすることにしました。
白樺峠の駐車場から宿までは車で15分程度で、この白樺峠のベースキャンプとしては最も近くにある宿の一つです。もう何年もお世話になっているのでご主人と奥さんも知っていて、何も言わなくても、勝手のわかっている部屋に入り、熱めの温泉に入ってから、楽しみにしていた夕食を囲み、明日のタカの出現を祈念してみんなで乾杯しました。
夕食の内容は付近の山河で採れた山菜と川魚が中心で、イワナのタマゴなどの珍味を含め、実においしい食事がここの自慢でもあり、私たちの最大の楽しみの一つでもあります。そしてなんといってもこの時期の最高の目玉は松茸でしょう。
ご参加の皆様には松茸料理を楽しみにしてこられた方も多いと思います。ところが、到着前の道の駅で聞いてみると、今年は天候不順で松茸が全く採れないのだとか、店頭にもまったく見えない状態でした。今年はあきらめるしかないのかと思っていましたが、なんとか土瓶蒸しに松茸が登場し、皆さん嬉しそうにされていました。もちろん私も大喜び。美味い酒とも相まって至福のひと時を過ごさせていただくことができました。


白樺峠

     

白樺峠からの眺め

鳥ヤのみなさん

クジャクチョウ

沢山の鳥ヤのみなさん

1

2

ホシガラス

     

シジミチョウ

     

クジャクチョウ

3

4

夕食

                                


マツタケ土瓶蒸し

イワナの卵